東京染小紋
創業97年の富田染工芸。
現在、5代目の父と6代目の息子がともに働いています。仕事へのそれぞれの“想い”を伺いました。

大通りから少し入った、神田川沿いに富田染工芸はあります。
明治初頭、京都で職人をしていた先祖が浅草の浅草寺横に拠点を移したのが富田染工芸のはじまり。大正3年に早稲田へ移り、現在代表を務める5代目の篤さんへと続いています。
保有する型紙12万枚 伝統+流行の発信が使命

作業場に入ると、型紙で柄付けする白生地を張る長板がずらりと並んでいて圧巻!大正3年から97年もの間、ここで美しい染小紋がどれだけつくられたか計り知れません。屋外には、その後の工程の地色を染める機械や、染料を生地に定着させる蒸し箱、水洗い場などがあります。
細長い通路には、伊勢型紙を入れた箱が積み重ねられています。技術はもちろんのこと使用する道具も代々大切に受け継がれていて、型紙は古いもので明治時代のものもあり、総数約12万枚。自ら型を選んで誂えるお客さまもいて、富田染工芸ではお客さまとじっくり話をしながら希望に沿った製品づくりもしています。
型を組み合わせ、時代に合った色・柄のオリジナル製品を毎年発信している富田染工芸。伝統を継承しながらも、「新しいもの、流行をつくっていくのが使命」と篤さんは話します。
5代目・篤さん「覚悟してやれ」

結婚後、篤さんは早稲田から住まいを移し、授かった息子・高史さんは今年34歳。現在、修行中です。「食べていけないと継がせてもかわいそう。自由にさせてやろう」と以前は考えていたという篤さん。その反面、「私のように早稲田のこの場で職人と育てば最初から純粋培養できたのに」と笑います。
「私からは“やってくれ”とは絶対言わなかった。それが4~5年前に自分からやりたいと言ってきて、嬉しいが心配でもある。着物業界は大変だから、私としては継いで辞めようとどうしようとかまわない。自分で覚悟してやるからにはいい」。
幼少時代から周囲に家業を継ぐのが当然と思われ、自身が苦労してきた分、高史さんには自由な道を選んで欲しかった篤さん。早稲田で一つ屋根の下での純粋培養はできなかったけれど、高史さんは父親の働く姿、ものづくりの良さを見ていましたよ。
6代目・高史さん 離れて気付いたすばらしさ

「子どもの頃は嫌だったけど、成長して他のことも経験してみて、この仕事のすばらしさに気付いた。機械でつくるものより非効率だけど、その中に手づくりの良さがある。充実感がある。街中で自分がつくったものを着ている人を見たときが何より嬉しかった。一人でもうちの着物を着てくださるお客さまがいる間は、染めの方でもう少し元気よく会社を続けられるようにしたい」。
職人としてものづくりの楽しさを知り、ますます没頭している高史さん。今後の活躍が楽しみです。
(株)富田染工芸
- 東京都新宿区西早稲田3-6-14
- TEL 03-3987-0701
- 富田染工芸では型染め体験ができます。(※要予約)
- 平日:10人~受付/料金:1人2,000円
- 所要時間:約2時間/内容:染めと着物に関する講義、工房見学、染色体験





















