bakery&cafe mixture
全く血のつながらない二人が縁あって出逢い、運命であったかのように店や味や想いを継いでいく。そんなパン屋さんが下北沢にありました。
「大英堂製パン所」から「ミクスチャー」へ

下北沢一番街に、40年間にわたって愛されていた「大英堂製パン所」というパン屋があり、店主の関忠雄さんが焼くほんのり甘いやさしい味は近所でも人気がありました。
しかし、6年前に関さんが急逝。その後、大英堂製パン所があった場所は一人の青年によって「ミクスチャー」というパン屋さんに生まれ変わりました。不思議な縁で引き合わせられ、そして引き継がれたパン屋。名前は変わっても、味や店内のあたたかな空気は昔のまま。毎日多くの人が訪れます。
“おじさん”と一人の青年の出逢い

ミクスチャーとしてパン屋を蘇らせたのは、中井慈さん。エンジニアとして会社勤めをしていた中井さんは、学生時代からのカフェを開くという夢を諦めきれず、店を持つ事を目標に、会社が休日の土曜日に関さんを手伝っていました。
「大学時代の友人に連れて行ってもらったんですが、パンがおいしかったのと、おじさんの人柄に惹かれて、ここを手伝いたいと志願したんです。すると『見に来ればいいよ』と。次の週からさっそく通い、気づけば4年が経っていました」。
中井さんが関さんを表す“おじさん”という響きには、親でも親戚でもなく、なんともいえない愛情がにじみ出ています。4年間の中で自然とできた中井さんと“おじさん”の関係は、師弟というよりは親子に近かったのかもしれません。
運命を感じた瞬間
そんな“おじさん”が他界したのは、中井さんが5年間勤めていた会社を辞め、店を出す準備を開始した矢先。千葉や神奈川の物件を探していたところに、関さんの奥さまから中井さんに下北沢阿波踊りでの出店の誘いがあったのです。
「今まで大英堂を愛してくださったお客さまにお礼がしたいから、残った材料でパンを焼いてみないかとおばさんから連絡をもらって、一日限定で大英堂を復活したんです。沢山のお客さまによろこんでいただいた体験もあって、大英堂があったこの場所で、自分のお店をはじめてみようと決心がついたんです。無意識のうちに、ここでできたらいいなと思っていたのかもしれません。運命に導かれるように、ごく自然な流れで新店のオープンに至りました」。
「つながり」はおじさんからのプレゼント

今では、近所の肉屋さんとコラボした惣菜パンを発売するなど、下北沢のコミュニティで新しい試みにもチャレンジしているミクスチャー。そのかけがえのない人と人とのつながりは、“おじさん”からの贈り物だと中井さんは話します。
「おじさんのやさしさを思い出しては、初心に返っています。おじさんがやってきたことと、私がやっていくこと。そのミックスが、ミクスチャーなんです」。
中井さんに得意分野を聞いてみると、すぐに返ってきた答えは「おじさんの味」。ミクスチャーは、中井さんから発信される新しい風が吹き込みつつ、“おじさん”から引き継いだほっとするような温もりに包まれた場所なのです。
mixture (ミクスチャー)
- 東京都世田谷区北沢3-31-5
- TEL・FAX 03-5453-7677
- 営業時間 7:30~22:00(※不定休)
- URL www.cafe-mixture.com





















